【~95k地点】
多くのマラソン大会では、所定のポイントの通過タイムをメール配信で知らせてくれるGT-Mail というサービスが用意されている。普段は、応援の友人に途中経過を知らせたりするのに利用しているが、今回は、自分自身のタイムやゴール予想時刻を知るために携帯電話をボトルポーチに忍ばせてある。
多目的ホールを出てから携帯に着信メールがあったことを思い出し、坂を登りながら確認する。すると、弐号からのCメールで、な、なんと、71k女子で入賞を果たしてしまったらしい! 快挙! アッパレ~ 祝福しようと早速TELしてみたが、留守電 になっていて繋がらない。 ゆっくりとにでも入っているのだろう。
あきらめて、再び腕を振って攻めウォークを開始する。「 やばいな~ 同じウルトラ初挑戦なのに、差をつけられちゃったな~ こうなったら、派手なゴールで沸かせるしかないな~ 」と、あれこれと皮算用に思いを巡らせる。
まもなく、若いカップルの応援団に遭遇。女性がスポーツドリンクを差し出してくれて、男性がゴミ袋を持って併走し、紙コップを回収してくれた。
「頑張ってくださ~い 」 「どうもありがとう~ 」
今日一日で、何回感謝の言葉を口にしたか知れない。フルマラソンでは、ほとんどの行程を闘争心 で走っていたけど、ウルトラマラソンは人の心を優しくさせてくれる。
今回、ウルトラに出てみて、応援のありがたさをしみじみ実感させてもらった。感謝。
いつ終わるとも知れないダラダラ登りをヒタヒタと速歩いていると、先行ランナー達(ほとんど彼らも歩いているが)との差が少しずつ詰まってきた。ここでも攻めウォークが本領発揮。遠くに見える後姿を追って、追いついては一人、二人と順位を上げてゆく。 しばらく歩くと、先行ランナーが徐々に走り始める様子が見て取れた。勾配が平坦になってきたらしい。自分も彼らに倣って、ランに切替える。
ターゲットが歩くと、自分もその前まで回り込んで歩き、抜かされると再び自分も走って抜き返す、という繰返しが始まった。ここまで来ると、11時間台の完走は確実なので、順位を上げたいという意識よりも、「他人が走れるのに、自分は歩いている、という状況が面白くない」、というただそれだけの理由で走っているようなものだった。
そろそろ16時近くなり、陽も傾き、風が冷たくなってきた。 畑の真ん中の道路を走っているので、遮るものが何もない。汗で濡れたメッシュシャツが冷たくなり始めている。ボトルポーチに括り付けてあるビニールポンチョを被ろうかとも思ったが、「寒ければ走って身体を暖めよう」と思い直す。前日の夕方がかなり寒かったので、今日は、42K地点のトランジットから、SKINSパワースリーブを腕に装着していた。このまま進んでいけば、なんとか我慢できる気温のうちにゴールできるだろう。
93k手前で、の伴走を受けている先行ランナーに追い付く。前に出る際に自転車が邪魔になりそうだったので、「すみませ~ん、通りま~す」と大声で叫ぶと、「あ、すみません…」とすぐに道を空けてくれた。と、直後にエイド到着。暖かいココア とチョコレート菓子(きのこの山!)をもらい、すぐにランを再開する。
(95k地点…予定:12時間14分 実際:11時間02分 区間平均:8’03)
95k以降は、1k毎に残り距離数の標識が立っていた。一旦は平らになった道路だったが、そのあとも上ったり下ったり(下りはあまりなかったかな…)で、なかなか楽をさせてくれない。
それでも、時折、ゴール地点のアナウンスの声が風に乗って遠くから聞こえるようになってきた。 「あと4k」の標識も過ぎた。「よし、もうすぐだ!」 「とうとう帰ってきたぜ!」
しばらく前から、抜いたり抜かれたりしていたデカフォレストさん(10回以上の完走者)に再び追いついて、「あと少しですね~」と話しかけてみた。 すると、「ここからまた遠回りさせられちゃうけど、この坂を登りきれば、もうゴール前の200m以外に上り坂はないからね」と教えてくれた。「俺、野辺山初めてなんですよ~」「もう12時間以内は間違いないよ! 坂の向こうを左に曲がれば、畑道を通って、2Kくらいで野辺山駅前まで出るから。なんでも聞いてよ」
これは有難い情報だった 姿勢を正し、目の前の上り坂を克服することだけに集中した。そして、登りきった。すぐに走り始めた。11時間40分は間違いなく切れそうだった。
曲がり角を誘導するお巡りさんが、「お帰り、お疲れ様」と声をかけてくれる。「ありがとうございます。お世話になりました」 あ、俺、涙こぼれてるかも…。左折すると、最終エイドが見えた。そこのスタッフの人が、大きく手を振りながら、ぴょんぴょん跳ねてるのが見えた。うさ吉も、負けじとぴょんぴょん跳ねながら両手を振った(跳ねるのは本職だぴょん!)
「お帰りなさ~い。お疲れ様~」「ただいま~。ありがと~!」 初めて会うのに、友達同士みたいな感覚。悪い気分じゃない。「あと3kですからね!ここからラストスパートですよ」「(げ、ラストスパートかよ) は、はい。ラジャー」 最後のWGH、最後のオレンジ、最後のきのこの山、最後のココアを補給して、そこそこのペースでゴールを目指す。
エイドで休んでる間に、馬越の山下りで置いてきた一人のランナーにパスされたのがわかった。ものすごい形相でラストスパートしてる。 でも、うさ吉は、ちょっとだけ おセンチ気分で、「もうすぐ終わっちゃうんだね…」 と余韻にひたりながら走っていた。畑道の曲がり角のスタッフのおじさんが、うなずきながら優しい目で迎えてくれた。、「お疲れ様」「ありがとうございました」。 汗なのか涙なのかわからないけど、顔がしょっぱくなっている。 残り2Kの曲がり角では、女性二人 がプログラムでゼッケンを確認して、「うさ吉さん、お疲れ様。あと少し、頑張って~」と応援してくれた。「どうもありがとう~」 目の前には、もう歩くのが精一杯のランナーが足を引きずっている。 「あと少しです、がんば」と声を掛けて先に行かせてもらった。JRの踏切でも、スタッフやお巡りさんが、みんな労いの言葉を掛けてくれる。うさ吉の「ありがとうございま~す」は、すっかり涙声になっていた。
いよいよ駅前通りに出た。MCみどりさんの声で、女子100Kの表彰式の最中であることがわかった。「あ~、うさ吉のゴールコメント、読み上げてもらえないかも…」
沿道の人たちが、口々に「お帰りなさ~い」「お疲れ様~」「おめでとう!」「よく頑張ったね!」と声をかけてくれる。うさ吉は、首のタオルをはずして、右手ににぎった。ヘリコプターのようにぶんぶん回しながらゴールするつもりでいたのだ。
最後の角を左折すると、歩道の両側に人、人、人! 前後100mには誰も走ってないから、全員がうさ吉に声援を送ってくれている。「ありがとう~」「どうもありがとう!」と声援のシャワーの中を進む。 左右に手を振りながら正面を見ると、100mほど先でMCみどりさんが手を振っている。その脇で風忍弐号も笑顔で手を振っている。「やったぞ~!」と右手を挙げて応える。さあ、パフォーマンス、パフォーマンス、と思ってゴールテープを探したが、あれれ、みつからないよ。ゴールどこですか? すると、体育館方向へ花道が突然曲がり、左折した瞬間、「あ、ゴールテープ切っちゃったよ、まじ?」 「写真屋さんはどこ? え、撮り終わった? そ、そ、そ、そ~ですか、そりゃどうも」
…こうして、うさ吉の野辺山ウルトラマラソンは幕を閉じた。
ゴールで読み上げて欲しかったコメントは、
「初めての野辺山! 初めてのウルトラ! 風忍うさ吉、只今参上」
(100kゴール…予定:12時間55分 実際:11時間34分22秒 区間平均:6’23 全行程平均:6’56 )

完走おめでとう御座います。
同じマラソン愛好者としてゴール間近の心境がよく分かります。
初参加で完走されたのは、日頃のトレーニングと最後迄諦めない気持の他に奥様(風忍弐号)の協力のお蔭だと思います。
次の目標は24Hマラソンですか?
ブログ楽しみにしています。
BANJINさん、毎度どもです。
フルマラソンの後半スタミナ強化の一環で取組んだ野辺山チャレンジでしたが、練習コースに事欠かない住環境(=田舎の山沿い)であることに気づき、すっかりトレイルランの虜になりました。来月は初レースに出てみちゃいます。
でも、記録更新が狙えるうちは、ハーフ~フルマラソンのロードレースをメインにしようと思ってます。なんとか四十路のうちにサブスリー達成したいものです(厳しいけど)。