オッタテ峠を過ぎると、すぐに(おそらく)小高山の小ピークを迎えた。規模からすると、ダン沢と同じくらいだったと思うが、泥沼で体力を消耗したあとの登り坂は、たとえ短い距離でも結構こたえるのだった。レース前は、この「小高山」というポイントがインプットされていなかったので、この辺りのラップが、もしかすると1区間ずつズレてるかも知れない。あしからず。兎に角、案内板みたいなものがあると、そこでラップをとっていたような気がするので…。
小高山の峰を越える途中で、ハイドレーションの1Lの水を飲みきったように記憶している。コース中央に生えていた木の幹によりかかってザックを下ろし、予備の400ccボトルの水をハイドレーションに移し替えた。脇を通り過ぎるランナー達と、「お先に~」「お疲れ~」などと言葉を交わしただけで、一瞬連帯感が生まれたような気がした。
今日は、スタート時からずっと手袋を着用していたのだが、度重なる沼地での転倒で、両手が泥だらけ。触るものが片っ端から泥まみれになっていく。水を移す際にも、手袋の泥がかなりハイドレーション内に入り込んで、茶色く濁ってしまった。「ま、コーヒー牛乳だと思えばいいか!」と気にせず身支度を整える。ついでに、カーボショッツやクエン酸サプリ等も補給したのだが、しばらく止まっていたことで、身体中の汗が冷え切ってしまった。早く身体を温めようと、先を急ぐことにした。
小高山のピークを過ぎ、下りきった辺りが、二番目のオフィシャル給水ポイントの「五三郎小屋」前だ(たぶん)。18kくらい過ぎたはずなので、400ccの水で残り8kなら行けるだろうという判断で、そのまま通過。現地スタッフに、「コース相当すごいことになってるよ!」と一声かけたところ、「でも、楽しそうですよ!」と簡単に返されてしまった。「ふ~ん。楽しそうにみえるのか、俺は… 」 ま、普段から、相当ヤバくならない限り、余裕をかます傾向があることは確かだけどね。(実は、顔面の筋肉が疲労で弛緩してるだけだったかも…)
<オッタテ峠-五三郎小屋:実時間:16分30秒)
五三郎小屋を過ぎると、後半の最大の難関である大高山への急傾斜の登りが続く。わずか1k進む間に200mほど上る計算だ。この辺りまで来ると、よっぽど緩い傾斜でなければ歩いて進むことにしていた。休んでいる間に、周りのランナーの雰囲気が一変し、かなりペースダウンしたように感じた。 だが、シングルトラックの急な登り傾斜なので、無理して追い越すことはせず、息を整えながらじっと我慢して付いていった。
やがて、見晴らしのよい場所に出た。(実際は霧で景色は見えないが…)同時に、遮るものがなくなって、真横から風雨 が吹き付ける。目の前には、山頂に向かって延々と登り坂が続いている。ポツリ、ポツリと先行ランナーの背中が見える。 果てが見えないので、足元だけを見て、無機的に数を数えながら一歩一歩進んでいく。15mほど進んでは、脇によけて一休み。また15m進んでは一休み、という具合だ。
「あの樹木が茂った場所まで行けば頂上かな?」との淡い期待を数回裏切られたあとで、ようやく傾斜が緩くなり、なんとかピークに到達したようだ。
-大高山(22’13)
<オッタテ~大高山 2.02K @19’10> ※予定38分→ 実際38分43秒
悲しい性(さが)で、登りきって走れる道に出会うと、勝手に身体が走り出してしまうのだった。大高山を越えて、カモシカ平まで、相当な下り勾配が続く。ネマガリダケを綺麗に刈ってくれてあったのだが、元々が左が山、右が谷、という傾斜なので、トレイル自体が右に傾いている。切り株の上に泥が溜まっているので、谷に向かって滑る、滑る。スピードだせそうだけど、安全第一で巡航。今日は、とにかく、「怪我をしないで無事に下山する」。これを最優先課題としております!
走れる範囲の傾斜はすぐに終わりを告げ、途中からは急な階段(もちろん泥製)をそろりそろりと降りていく感じ。あまりにも急勾配なので、後ろ向きで降りたいくらい。一人がズルッと滑ると、それを避けようとバランスを崩し、2~3人があちこちでズルズル滑りまくる展開。受験生は参加しないように!
頭に来たのは、この状況下で、後ろから猛スピードで突っ込んでくる馬鹿。確かに、トレランの醍醐味は、下りをステップワークでクリアすることだろうけど、状況を考えろっての! この辺りでやっと追い付く程度だから、大した能力じゃないでしょ?身の程しらずの勘違い野郎は、案の定、自分自身の制御ができずに段差で順番待ちの集団に突っ込み、大勢を巻き添えにしてしまうのだった…。しかも、そのまま先に進もうとするので、「お前が迷惑なんだよ!」と一喝してやった。 聞こえたかどうかわかんないけど。
良い子の皆さんは、身の丈にあった走りをしましょうね。
泥まみれで下り切ったと思ったら、今度は高沢山へ向けて、再び2k弱の登り勾配が始まった。「これ、さっきと同じじゃん…」と茫然自失の自分。大高山への登りがもう1回リピートされちゃったよ~ん。それでも、「ここを登り切れば、もうゴールは近い」と自分を励ましながらなんとか前進する。
終盤にきて、前後のメンツが大体固定されてきた。1人は、背の高い青いノースリーブにランパンのお兄ちゃん。雨具も帽子もなく、ザックもなく、ボトルポーチだけで走ってる。途中で、思わず、「ねえ、寒くないの?」と尋ねちゃいました。…愚問でした。
「寒いっすよ~。40Kじゃなくてよかったですよ~」 「…頑張れ~ 」
もう1人は、大人しそうなお姫様 (と、この時点では思ってました。)自分が休んでる間に、何度か先行されたものの、下りの泥階段などで追いつくこと数回。「下りは遅いんで、先に行ってください」と言われて、何度か露払いをさせていただきました。
そのうち、下り坂の前で立ち止まり、こちらを振り向いて「ニコッ」とされただけで、お庭番の自分は、「御意!」とばかりにぬかるみに偵察に出向くのでありました。(← 一部誇張あります。 で、リザルトを見たら、なんと、お姫様はお姐さんだったんですね…いや~お若いですね! )
大高山-高沢山(予36→41’35)
高沢山をクリアし、しばらく進むと、スタッフから「残り3k。下るだけで~す」という天使のお告げが! 「やった!生きて帰れる。」と喜びつつも、三壁山から野反湖ロッジまでの急坂は、濁流を通り越して、すでに土石流状態。先行する姫が、脇に道を譲ってくれたので、「転ばないようにゆっくり行きましょうね」と一声かけて、最後の濁流ランに突入。途中、パワースポーツのカメラマンさんにも手を振り、コース脇の清水で、ゴールに備えて顔を洗ったりしながら(←余裕じゃん!)、 ゴールアナウンスの聴こえる地点までなんとか戻ってまいりました。
舗装路にたどり着いて、流していると、後ろから必死に走ってきたおじさんに追いつかれてしまいましたが、ま、ここまで来れば順位はどうでもいいです。「お先にどうぞ~」と道を譲って、ゴール写真がかぶらないように数m後ろに下がって、ガッツポーズでゴール!
なんとか怪我もせずに帰還できました。
(でも、写真に写ってなかったんだよね…。カメラマンさんたら、トイレ行ってたみたいよ…)
-三壁山(予18→25’44)
-野反湖(予25→24’49)
<大高山~野反湖ロッジ 6.42K @14’21> ※予79→ 92’08
トータル: 5時間22分15秒 160位
う~ん、初レースがサバイバルレースになってしまいましたが、結構いろんなことを考えながら走ってました。そのお話は、また後日。
一言でまとめると、自分は、山は1人で静かに走るほうが好きかな…。