加藤周一氏が亡くなられました。
自分は、一時期、大江健三郎氏の文章を好んで読んでいた時期があり、「九条の会」の存在を媒体して、氏の存在に興味を持ち、自伝「羊の歌」、「雑種文化論」等の著書を読んでみたことがありました。
軍国主義復活の危険性と民主主義の徹底を一貫して訴え続けた、日本人が世界に誇れる稀有な(最後の?)知識人だったと思います。
故小田実氏が、著作の中で、こんなことを書いています。
-「彼の言論には全体を通して、世の非常識、反常識に対しての怒りがあるように思えて、その怒り-常識の怒りの通底が私の心をとらえる。人間が人間なら当然持つ怒りだ。」
また、上野千鶴子氏は、次のように評していました。
-「知識人の値打ちがこんなに下がった時代はないし、知性に対するシニシズムがこんなに蔓延した時代もない。こんな時代に加藤周一を読むことは、ほとんど反時代的な感じさえする。」
人間は、自分も含めて、考えや発言、行動までもが、時としてブレてしまうものです。そんな時は、ズレた分を元に修整するための、規範になる基準が必要になります。
そんな北極星のような役割を果たしてきた人が、また一人消えてしまいました。
毎日のニュースに映される、侮蔑の対象にしかならない政治屋さんたちを観るにつけ、一体いつからこんなトホホな状態に成り下がったのか?という気持ちになります。
毎日の通勤電車の中での学生達の会話を耳にしていても、溜息しか出てきません。きっと、そういう躾や教育しかされていないからなのでしょう。
正義も、恥も、秩序も消えうせてしまったこの時代に、現実逃避だけしているわけにもいきませんな…。
謹んでご冥福をお祈りいたします。