【~54.6k 川又分岐】
小海のエイドの脇を右折し、太陽と山に向かって進む。
最初のうちは、あまり気にならない程度の緩い登りが時々顔を出す程度なので、胃の消化具合を気にしながらじっくりと走る。
途中、5人くらいの集団に追い付いたが、最後尾の赤いクリールのランシャツを着た、トレイルシューズで走っていたのは、樋口編集長だったような気がした。
レース中なので、あまりジロジロ見るのも失礼だと思い、声もかけずにそのまま静かに追い抜いた (先方は私のことを知らないわけだしね…。 )
白線に誘導されて、時々道路を右に左にと渡りながら進んでいくと、徐々に登り勾配がきつくなってきた。 それでも、ゆっくり走り続けていくと、少しずつだが順位は上がっていく。
やがて、とある私設エイドに人だかりがしていたので立ち寄ってみると、お婆ちゃんが白い梅干のようなものを並べていた。「魔法の水」に漬けたというその物体(正体不明)をいきなり口に放り込んだら、「それは食べるんじゃないよ!」と笑われた。
脚に塗ると、元気になる薬なんだそうだ。あらためて1個もらい、タイツの上からポンポンと太股とふくらはぎの前後に染み込ませてみた。どうもありがとうございました
(※後日、うさ吉の調べで、謎の物体は「梅漢方エキス」らしいと判明した)
ここから先は、民家の軒先でいろいろな私設エイドにお世話になった。
大小さまざまな形のグラスにホースで冷水を注いでくれるところや、リポD を手渡してくれた男の子たち。みんなありがとう!本当に嬉しかったよ。
後半になって傾斜がきつくなってきたところで、またまた攻めウォーカーに変身。
数人に抜き返されたが、次の川俣のエイドでは、全員に追い付いちゃった。
コールドスプレーが置いてあったので、太股前後とふくらはぎを冷やしてみた。ここでも、サイダーやオレンジでリフレッシュ。
(54.6k川又…予定:6時間25分 実際:5時間56分位 休憩時間:1分 区間平均:6’18)
【~59k 北相木村役場】
川又分岐を右方向に登れば滝見・馬越方面へ向かうが、その前に、北相木村役場への上り下りが待っている。
この区間は事前に下見をしていないので、「だらだら登りが続く」こと以外に情報がなかった。ある意味、全工程で一番精神的に辛かった区間とも言える 。 傾斜が微妙で、走るか歩くかのボーダーラインの上りが延々と続く。ここでは、「走りたいかも…」と思えるところだけ走り、少しきついかな?と思ったら即座に攻めウォークに切り替えた。なにしろ、これまで一度に走ったことのある距離を既に突破しているのだ。この先、体がどこまで持つのか予想ができない。(現時点では、まだ肉体的には辛くはないが)
登り初めて間もなく、お馴染み長野マラソンクラブのアンパンマンKさんが坂道を下ってきた。(こちらが一方的に知っているだけ…)。 そういえば、GWに下見に来たとき、餡さんは、行程数百キロの「川の道」レースを走っていたような気がしたが…。 お疲れ様です。
道路の反対側を駆け下りてくるランナーを羨ましく思いながら、「でも、折り返せば自分にも下りが待っている!」と気持ちを騙しながらひたすら登る。先行していた100Kの女性ランナーをウォークで何人か追い抜いたと思う。頭の中では、水戸黄門のテーマ曲がエンドレスで流れ始めていた。 「くじけりゃ誰かが先に行~く~。(中略) 泣くのが嫌なら、さ~あ、歩~け~」♪
蛇行しながら目的地の見えない坂を登り続け、「折り返し地点や~い」とそろそろ泣きが入ってきた頃、神社の近くで、「お酢どうぞ」と声をかけてくれた男の子がいた。ぐいっと一杯ひっかけて あと一踏ん張り、頑張りましょうか! 走れるところはランニング~
そのうち、道路反対側に60K計測ポイントを発見。役場が59K地点だから、「あと1k(もあるの)か~ 」と複雑な心境になる。
それらしい建物が見当たらないと思いつつ先に進むと、数分後に、スタッフに誘導され、長い上り坂から開放されて北相木村役場エイドに到着。 道路よりも一段下がったところに位置していた。
、味噌汁、イチゴ、、オレンジをお腹に詰め込み、シューズもソックスも脱いで、 プールの水で足を冷やす。 顔も洗って、さっぱりとした。
(59.0k北相木…予定:7時間05分 実際:6時間29分 休憩時間:7分 区間平均:5’55)
【~71滝見の湯】
さきほど登ってきた道を川又まで戻る。基本的にほとんど下りなので、リラックスして走る。 先行ランナーや歩きの人を6~7人抜いた。
途中、二人のお婆ちゃんが、「どうもありがと~。来年も来てね~」と声援を送ってくれた。 「必ず来年も来ま~す!」と手を振りながら、じんと胸が熱くなった。
少し先の私設エイドでもらった別のお婆ちゃんの梅漬けをかじりながら、反対側を登ってくるランナー達を眺めていると、手を振って坂を上ってくる弐号を発見! 元気そうで安心した。 「オ~」と手を振りながら、「(エイドまで)あと2k~!」と叫んだ。
登っている時の自分が一番知りたい情報 だったから。(でも、レース後、「あの時、何て言ってたの?」と尋ねられてしまった…がっくり)
川俣まで下り、左折すると、いきなり滝見までの上りがはじまった。ここからは下見でよく把握している正念場だ。 早速ウォークの体制で進みはじめた途端に、「日向地区」エイドに到着。で、いきなり休憩 これから始まる登りの連続に備え、しっかりと休む。
エイドのお母さんが、「さっきアンパンマンが来たんだよ~」と誰かに話していた。餡さんは、どこでも人気者だ。
ここから先は、レース前の予想では、「ぼろぼろになっているはずだから」、8’30~9’00ペースを見込んでいた。
北相木の時点で、目標タイム(12時間50分)に35~40分の貯金があったので、「普通に歩ければ大丈夫」という気持ちの余裕があった。
下りか平坦な部分以外は、攻めウォークでピッチを刻んだ。まれに後続ランナーに走って抜かれることもあったが、走ろうという気持ちにはならず、ひたすら歩き続けた。
そのうち、歩くことに飽きてきたのか、とくに体のどこかが痛いというわけでもないのに、「滝見に着いたら、入って、飲んで、弐号と一緒にで帰ろうかな~」という甘えた考えが脳裏をよぎり始めた。
しかし、66K地点で「滝見の湯 関門まであと5k。関門15:15 」という看板が目に入り、「いくらなんでも、こんなに時間的余裕があるのにリタイヤしたら格好悪いし、きっと後悔する。関門と必死に戦っている後続ランナーを冒涜することになる。」と反省した。
大勢の友人達に、「野辺山100kに挑戦してくる」と宣言してきたことも思い留まった大きな要因だったと思う。まだ正午を過ぎたばかりだったのだ。
そうこうしているうちに南相木村エイドに到着すると、自分を追い抜いていったランナー達がゆっくり休んでいたので、チョコボールとWGH程度の補給をして、早めにエイドを後にした。その後、その人たちの姿はほとんど見ることはなかった。
70K地点を過ぎると、下見のとき見覚えのあるお蕎麦屋さんが目に入り、続いて、庭に出した椅子に腰掛けた別荘の住人らしき人達が、「頑張れ~」と応援してくれた。
傾斜がやや緩くなったこともあり、ちょいと走り始めると、
すぐに滝見の湯の駐車場の幟が見え、沿道の人数もいきなり増えた。
MCの声がスピーカーから流れてくる。 71kランナーが目の前でゴールした。「71kフィニッシュ!おめでとう!」 続いて、 「442番さん、はるばる 71k地点まで、よくいらっしゃいました。 お疲れ様!」という賛辞が耳に飛び込んでくる。このメッセージで、俄然、やる気が沸いてきた。 「そうだよな。俺、71kも頑張ってきたんだよな!」「あと29kを10分ペースで歩いたって、目標クリアできるじゃん」「馬越峠を歩いて越えて、下りだけ走れば、走った分だけ良いタイムが出るじゃないか」「ガッツポーズでゴールして、メダルを掛けてもらわなきゃ!」と、いきなりのプラス思考モードに突入。
早速、蕎麦をいただき、オレンジ、、イチゴ、葡萄、梅干をむしゃむしゃと口に運び、ウエストポーチのパワージェルを一口補給。さらに、腰のボトルをWGHで満タンにしてもらった。仕上げに、クールインフィットを両脚にスプレーしてもらい、ピットアウト。ここまで4分ジャスト! 合格!!
(71.0k滝見…予定::8時間47分 実際:8時間03分 休憩時間:4分 区間平均:8’10)
【~79k 馬越峠頂上】
下見で来た際に、唯一試走をした滝見~三川までの3kは、ゆっくりとジョグペースで上った。試走の際はは8分半くらいのペースで走ってみたが、今日の予定は9分で可。 馬越峠に至っては9分半で見積もっている。
遅い山桜が咲いているのを横目に見ながら、ゆっくりとランで登っていく。途中、傾斜がきつくなったのでウォークに切り替えたところ、後続のランナーに抜かれてしまった。アグレッシヴモードになった自分は、すぐさま後ろについて、ラン再開。調子が出たところで、前に出て、ペースアップした。 その後、先行する歩きの女性ランナーを追い抜いたところ、ぴったりと足音が付いてくる。 どうやら自分をペースメーカーにして登ろうという気配。Welcome、戦友さん! どうぞ付いていらっしゃい。
いくつかのコーナーをクリアした数分後、気がつくと後ろには誰もいなくなっていました…。 ご健闘を祈ります。
さて、三川の分岐の少し手前で、元気なお兄ちゃんが走って自分をパスして行ったがあまり気にしない。三川から馬越峠までは完全ウォーク を決めていたので、右折して峠に差し掛かるや否や「ウォーキングマシン」に変身。ノルディックスキーのフォームをイメージして、前傾姿勢を保ちながら、腕をしっかり前に振上げる。丹田を意識しながら、腕の振りで脚を引揚げる感覚だ。 そして、しっかりとピッチを刻み、グイグイと峠道を登ってゆく。 前方に数人ずつの集団が二、三確認できたので、その背中を目標にひたすら「攻めウォーク」を続ける。ターゲットは、走ったり歩いたりを繰返しているようだが、その背中がじわじわと迫ってくる。 「歩いてるのに、俺は速い」
ここまでの工程で、なんとなく感じていたことが確信に変わった。冬場、ジムのトレッドミルで急傾斜で8分ペースで歩く練習をしたり、4月以降、山麓道のトレッキングコースをせっせと早足で登ったりしていたことが、馬越峠の舞台で見事に結実したのだ
まさに、 トレーニング計画の勝利

九十九折の峠道では、少しでも最短距離を通ろうと、誰もがコーナーの内側を結んだコース採りをする。自分は、集団の後ろで様子を伺い、その際に空いた隙間を使って一気に前に出て、次の集団の最後尾に着く、という繰返しで順位をどんどん上げていった。
三川の前で抜かれたお兄ちゃんも、途中で抜き返していた。時々気分転換に、下界を見下ろしてみると、高原野菜の畑のビニールが反射してキラキラしている。滝見の湯を出たのが13時頃なので、陽射しも強くなっているが、峠を渡っていく風が涼しい。まさに一服の清涼剤という感じ。
三川から2~3k登ったところで、T字路のエイドに到着。ここでアンパンを一つもらって、かじりながら歩く。下見の時には、ここが頂上だと思って、右折して川上村へと下ったのだが、何故か標識の矢印は左折を表していた。「まだ登るんかい! 」
馬越峠の頂上は、この先さらに2.4Kほど登らなければならないようだ。
T字路のエイドは、馬越の登りのほぼ中間点だったらしい。ここから、傾斜が一段ときつくなった気がする。 気持ちを切替えて、ここから先も、攻めウォークで一人ずつロックオンしてはパスしていく。
エイドから頂上までの間に抜いたある女性ランナーは、追い越されて順位が下がるのがとても嫌な様子で、抜こうとすると、10mほど小走りして距離を稼ぎ、また追い付くと、さらに10mほど走って逃げるということを繰返していた。
「お嬢さん、私は決して怪しい者ではございませんのよ…」
この 鬼ごっこが 五、六回続いて、ついに彼女は諦めて私の後方に下がっていきました。
そうこうしているうちに、峠では珍しい沿道の方を発見。「あと少し!そこのの先が頂上ですよ!」と教えてくれた。道なりに左に曲がると、3台ほど車が停めてあり、その先に、念願の79K馬越峠頂上エイドが出現した。
頂上では、4~5名のランナーが体を休めていた。ゴールまで残り21k!ハーフ1本分を走らなければならないと考えると長いが、87k地点の川上村のエイドで区切って、8k+13kと考えれば、大した距離じゃない。 毎朝のトレーニング程度の距離じゃないか。しかも、残りを10分ペースで歩いても、当初の目標12時間50分は楽々クリアできる。前半は得意の下り だし、どこまで 縮められるか挑戦しよう! というわけで、柄杓でバケツの水を両脚にかけて冷却 し、いよいよ山下り第2弾の準備が整った。
(79.0k馬越頂上…予定::10時間05分 実際:9時間18分 休憩時間:1分 区間平均:9’23)
~ 感動のフィナーレ「野辺山ウルトラ レース本番 参の巻」へ続く ~